2017/04/05 UPDATE
A:足をよく洗い、乾燥させることです。
臭いの原因は、空気中に浮遊する極小さな物質です。光や音は波動ですから、止まれば直ぐに感じなくなりますが、臭いは物質ですから、一度生じると消えません。
足の臭いの原因物質の一つとしてイソ吉草酸アルデヒドが上げられています。法律で特定悪臭物質として指定されている位ですから、相当な悪臭ですが、不思議なことに食料やお酒の香りを付ける添加物にも使われています。この物質は足にいる常在菌が皮膚の角質や汗のアミノ酸を食べて作り出す代謝物質です。細菌が生きていくためには、適度の温度と湿度、それに栄養分が必要ですから、靴の中は細菌にとって絶好の環境なのです。その上、足は代謝が激しく汗もかきやすいので、栄養分である角質や汗に不足はありません。ですから、靴の中の温度と湿度を下げ垢や汗を出さないようにすれば良いのですが、不可能に近い話しですし、細菌がいやがる環境は人間にとっても良くありません。足や、靴、靴下の消毒薬や抗菌製品が多く販売されています。しかし、本当に細菌を殺してしまうような薬は、原則人間にも害があり、常在菌は皮膚を弱酸性に保ち、他の悪い細菌から足を護る働きも持っています。足や靴の殺菌剤、消毒剤、抗菌剤には色々ありますが、足の皮膚に害が無く、常在菌に期待される効果を失わない薬剤に、細菌の繁殖を止める効果は期待できません。ですから、通気性の良い靴を選び、靴の乾燥に勤め、毎日、風呂に入って靴下を替え、臭いの物質を少なくする程度に止めるべきです。完全な無臭を目指して、有益な常在菌をも絶滅させる様な薬品を使うことは、かえって体に害をなすことになります。
A:①靴先の内側が真っ直ぐな靴(親趾が外側に押されない)
②踵が低く(3cm以下)足が前に滑らない靴
③母趾の部分が第2趾の部分より長い靴(エジプト型の足に合う)
以上が、母趾がまだ真っ直ぐで、外反していない人が、外反母趾にならないようにするための外反母趾予防の靴です。
外反母趾の3大原因は、
1)遺伝:親や祖父母が外反母趾の人は外反母趾になり易い
2)女性:外反母趾発生の男女比が約1:10と、圧倒的に女性に多い
3)靴:ハイヒールやパンプスを履く人に外反母趾が多い
と言われていますが、1)2)は予防のしようがありません。従って、外反母趾を予防するには、靴に気をつけるしか無いのです。外反母趾は、靴を履いた時、先ず母趾が内側から押されて外反し、外反したで先端から押されて更に外反が強まります。更に、この外反位では、母趾MTP関節の回転軸と基節骨を屈伸させる腱が直行せず、腱の牽引力が、基節骨を屈伸させるベクトルだけで無く、外反させるベクトルも生んでしまう為に、歩行時に踏み返しを行い、体重を支えるだけで外反母趾が進行します。これを防止するためには、前述した①~③の条件を満たす必要があります。ただし、外反母趾になってしまった人は、突出したバニオンが靴に当たって痛いので、広い靴、それでも間に合わず、長い靴を選びますが、この様な広い靴、ゆったりした靴は、足が滑って外反母趾を助長しますので、外反母趾の予防には「百害あって一利無し」です。また、この様な靴は、外反母趾になってしまった人の外反母趾の進行を防止したり、改善したりする効果は全くないので、予防と痛まない靴はハッキリ区別しなければなりません。
A:サイズが合った靴なら、何を履いても構いません。
目で見て足底の内側が床についていても、偏平足とは限りません。常に摺り足で足腰を鍛えている力士や、俊敏なサイドステップを要求されるスポーツ選手は、足底の筋肉が発達しているので、凹みが無い事が少なくありません。また赤ちゃんも、ふっくらと脂肪が付いているので凹みはありません。ですから、足跡だけを見て偏平足というのは正しくありません。医者は、足の甲にある舟状骨が床からどのくらい離れているかで、偏平足を診断します。正確には立位で足の側面のX線写真を撮り、床からの距離を測り、趾の付け根から踵までの距離で割った値(横倉法)で判断します。しかし、これで偏平足と診断されても、大半は何の支障も無い無症候性の偏平足です。実は、偏平足は本来、足の形態の一つを表すだけの医学用語で、それ自体に病気であると言う意味はありません。足には骨性の縦アーチがありますが、これが低いのを偏平足、高いのをハイアーチとか凹足(足の裏が凹んでいる)と言います。足の形態は人それぞれ、千差万別ですから、いちいち気にすることではありません。ただ、凄く痩せた人に合うズボンが少ないように、極端にアーチの低い人に合う靴も少ないのは確かで、緩くて合わない靴を履いていれば足が滑ったり、踵がすっぽ抜けたり色々支障が出ます。でも、反ってアーチの高すぎる人の方が合わないときつくなるので、足の甲が痛んだり、前足部に胼胝を作ったりして痛くなるケースが多いようです。しかし、中年以降にアーチが下がってきて偏平足が起こった場合は話が別です。後脛骨筋腱機能不全と言って、足の内踝の下を通って舟状骨に付着し、アーチを支えている筋腱が切れてしまう病気があります。これは、生来の偏平足と違って進行して、つぶれが酷くなり、痛みや変形が起こります。人生の途中でアーチが下がって偏平足になる時には、医者に行ってください。また、小児の先天性疾患で起こった偏平足も話は別です。逆に言うと、これらのハッキリした疾患の症候としての偏平足を別にすれば、普通に言われている偏平足は無害の物で、靴が合いにくいという以上の支障は無いと言えます。ですから、偏平足であっても、合った靴が見つかればどんな靴を履いても良いのです。
日本靴医学会、日本足の外科学会 名誉会員
昭和45年:慶應義塾大学医学部卒業、整形外科医
平成11年:第13回日本靴医学会会長、第24回日本足の外科学会会長
平成11年:第20回国際足の外科学会副会長
平成20年まで:慶應義塾大学医学部総合医科学研究センター・整形外科 教授
平成23年まで:日本靴医学会 理事長、日本足の外科学会 理事
研究分野:足の外科、外反母趾
主な著書:外反母趾を防ぐ・治す(講談社)、足のクリニック(南江堂)
主なテレビ出演:今日の健康(NHK2002/7/8、2006/3/1)、世界一受けたい授業
(日本テレビ2007/8/25)など
リンク先はこちらです
https://www.dr-inokuchi.com/
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